要 旨:家庭の問題についても、家庭に関して別々の領域で生じている現象は、その本質において共通の内容を持っているはずであり、家庭が属している現代社会の特徴を反映しているはずである。では、現在の日本社会の中で、家庭に関して、一体どのような現象が起きているだろうか。家庭をめぐる話題として特に際立った出来事をいくつか挙げてみよう。日本社会の変化は家庭機能の変化から見抜くことができるのだろう。そして、家庭の変化について観察する必要がある。
あれこれ別々の領域で起きている現象が、初めはお互いに全く無関係であると思われていたのに、時間の経過につれて、それまで隠れていた相互の関係が徐々に明らかになってきて、やがてある時点をもって、それらのすべてが、ある一つの全体的な出来事の異なった現象であったことが分かる、ということがある。
そこで現代社会に眼を転じると、現代社会のあれこれの目立った現象についても、それらが全体としては現代社会の構造全体の根本的な変化に由来するということが十分予想される。個別的で偶然的な出来事も、数が重なれば、それが起きるだけの十分な理由を持った説明可能な出来事になるし、些細で表面的な出来事も、他の出来事と関連させてみると、ある本質的な意味を担った出来事になる。
例えば20世紀90年代に入って、日本に経済社会の変化を反映する新しい概念が出現してきた。たとえば、バブル経済をはじめとして、少子化、高齢化、援助交際、不登校、クラスメートのいじめ、少年犯罪など言葉を頻繁に使われている。