要 旨:川端康成は日本で最初のノーベル文学賞受賞者である。川端康成の作品は日本の伝統文化を元にして、西洋文学、特に西洋の現代派文学の小説手法を踏襲した上、日本文学特有の「ものの哀れ」、優雅、幽玄の美を創出した。川端康成は日本の美の伝統を受け継ぎ、日本古来の美しさや哀しみの世界と、日本人独特の感性の動きを、深く純粋な眼でみつめて描き出し、世界に通じる美の普遍性を持つものとして評価されたのである。川端康成の多くの作品は哀れと美が混ざっていた特徴がある。日本の伝統美の影響で、川端康成は『源氏物語』が形成した「ものの哀れ」の美を現代に通用する新しい段階まで発展させた。川端康成が「哀れは美と通じている」と指摘したように、氏の「物の哀れ」に対する理解は氏の美意識の重要な面になっている。川端康成は自然に内在する美を凝視するため、その作品には鋭敏な季節感が行間にあふれている。本論は彼のノーベル文学賞受賞作品『雪国』を通して、川端文学の根底にある日本美の伝統について、未熟ながら自分の見解を述べてみようと思う。
キーワード:川端康成、日本の伝統美、自然観、女性観、死生観
摘要:川端康成是日本第一位获得诺贝尔文学奖的作家。其文学在立足于传统文化的基础之上,吸收西方现代派文学的某些表现手法和技巧,来抒写日本民族所特有的纤细而敏锐的感受,从而创造出川端文学所具有的那种独特的,既传统又现代的艺术风格,展现出日本文学传统中所特有的物哀,风雅和幽玄之美。其小说中始终流淌着一种悲与美交织的独特艺术底蕴。川端康成在其作品中继承来《源氏物语》以来形成的“物哀”精神并将其发展到一个新的境界,一如他自己所说的那样:“悲哀这个词同美是相通的”,他对物哀与美的理解形成来其唯美主义格调的一个重要方面。他以独特的眼光审视自然界的内在之美,敏锐的季节感流露在他的字里行间。本文试图通过其诺贝尔文学奖的获奖作品《雪国》来探求川端康成文学中所流淌的日本传统美的特征及其形成缘由。
关键词:川端康成、日本传统美、自然观、女性观、死亡观