要 旨:少子化問題は世界中で話題になっている。多くの国、特にアメリカ、日本、スウェーデン、フランスのような先進国はこの問題に直面している。少子化とは出生率の低下に伴い、総人口に占める子供の数が少なくなることである。
本論は少子化問題が一番深刻である日本を研究対象として、日本の少子化問題の現状、原因、及び日本の社会経済に与える影響を研究し、将来の日本の姿を予測し、更に少子化の対策案を提出するものである。
近現代の日本の場合、1947年~49年にかけては戦後のベビーブームにより出生率(一人の女性が生涯に産む子どもの数を表す) は4を記録したが、その後1950年代には希望子供数の減少、人工妊娠中絶合法化などによって、人口は急激に減少した。さらに、1989年の人口動態統計では合計特殊出生率が1.57となり、「1.57ショック」として社会的関心を集めた。日本における、少子化問題もこの「1.57 ショック」を契機に一般に認識されるようになった。その後、日本政府は子育て支援のための種種の施策をとったにもかかわらず、少子化の進行に歯止めがかからない状況が続いた。その後も出生率の減少傾向は続き、2005年には、出生数が約106万人、合計特殊出生率は1.26と1947年以降の統計史上過去最低となり、総人口の減少も始まった。日本の少子化はもう止まらない状況である。
人口減少は労働力不足を引き起こし、産業構造を変更させ、 市場を縮小させて、国家の脆弱性を高める大きな危険をはらんでいる。更に、少子化に伴って、高齢化も深刻になっている。それは医療費、年金、介護費などの社会保障費の負担増加の問題を引き起こした。
それに、出生率の増加には、よほど政策が有効に作用しても最低1年かかり、仮に出生率が増加傾向になったとしても、生産年齢人口の増加にはそこから最低15年はかかる。それゆえ、少子化対策への取り組みは非常に緊迫しているといえる。日本政府だけでなく、日本国民も少子化の進行に対する危機意識を高めなければならない。
キーワード:出生率 高齢化 少子化 社会問題