要旨:1994年、「詩的想像力により、現実と神話が密接に凝縮された想像の世界を作り出し、現代における人間の様相を衝撃的に描いた」が原因で、大江健三郎は日本二番目のノーベル文学賞を受賞した作家となった。彼は日本戦後民主主義者の責任感を持ちながら、現代の人類共通の主題を表現し続け、世界文学として普遍性が認められる。
大江健三郎の早期の作品は、現代の閉鎖状況を象徴的な事件に集約し、乾いた叙情をのぞかせる欧文脈の文体によって、徒労な行為を続けるしかない人間の意味を問いかける。そういった実存主義的な主題を追求と同時に、彼の作品には戦後世代だけが持つみずみずしい「民主主義」の理念が見られる。
本論文では、大江健三郎の生い立ちを参考し、青年期の『奇妙な仕事』と『死者の奢り』に出る青年たちの生存状態を分析することで、作者の「民主主義」を透視しようと思う。この論文を起点として、大江健三郎文学の研究を深めようとする。
キーワード:大江健三郎;民主主義;青年形象
目次
中文摘要
要旨
第1章 はじめに-1
第2章 大江健三郎と民主主義-3
2.1 作家紹介-3
2.2 大江健三郎と戦後民主主義-3
第3章 『奇妙な仕事』-5
3.1 作品紹介-5
3.2 青年形象-6
3.2.1 「僕」-6
3.2.2 「女子学生」-7
3.2.3 「私大生」-7
第4章 死者の奢り-9
4.1 作品紹介-9
4.2 青年形象-9
4.2.1 「僕」-10
4.2.2 「女子学生」-10
第5章 おわりに-13
5.1 本研究の新しい観点-13
5.2 本研究の意義と欠点-13
5.3 今後の展望-13
参考文献-15
謝 辞-16