要旨
文化とコミュニケーションの間には密接な相関関係が存在する。文化はコミュニケーションによって成立および発展し、コミュニケーションは文化として機能するとも考えられる。とくに通訳の現場で、異文化を持つ人々が出会うと、文化とコミュニケーションの問題が顕著にあらわれる。
これまでの先行研究を見れば、通訳者は異文化の人々の間に介入し、話者の話を聞いて意味を捉えてから、その意味をわかりやすく表現で他文化の人に伝達することで異文化コミュニケーションが発生する。本研究は先行研究を踏まえ、通訳と異文化コミュニケーションそれぞれの含意を深め、異文化コミュニケーションの橋渡し役の一端を担う通訳者の重要性を示した。そして、異文化の人々が言語によって認知と思考過程が異なる実例を分析しながら、通訳者はいかに異文化の壁を乗り越えるかという問題を究明した。
本研究の結論としては以下のようである。通訳するとは、ある一つの文化、ある一つの認知思考パターンの中で考えられているものを他の文化と他の認知·思考パターンの中でものを考えている人にわかるように表現して伝えることである。言語によって認知と思考過程に違いがあるとしても、多くの物の見方、多くの観点を手に入れ、一社会内の価値の多様性を認めるべきである。また、ボディーランケージの持つ意味の相違についても学びべきだという結論も得られた。
キーワード:通訳、異文化コミュニケーション、辞書的意味、文法的意味、社会的文化的意味
目次
要旨
中文摘要
はじめに 4
第一章 先行研究 5
1.1 通訳の先行研究―セレスコヴィッチの理論 5
1.2 異文化コミュニケーションの先行研究 6
第二章 通訳とは. 7
2.1通訳作業の本質 7
2.2通訳者の資質 8
第三章 異文化コミュニケーションとは. 9
3.1通訳者と異文化コミュニケーション 9
3.2言葉の意味と異文化コミュニケーション. 11
3.2.1辞書的意味. 11
3.2.2文法的意味. 12
3.2.3社会的文化的意味. 12
第四章 通訳者はいかに異文化コミュニケーションの壁を乗り越えるか 13
4.1言語によって認知·思考過程の差異 13
4.1.1差異の形成. 13
4.1.2差異が異文化コミュニケーションに与える影響. 14
4.2ボディーランゲージ―非言語的コミュニケーションについて. 15
第五章 終章 16
5.1結び. 16
5.2今後の研究課題. 16
参考文献.17