概要:本文では、まず、谷崎潤一郎の名作である『春琴抄』を概論する。その上で、佐助と春琴との関係や、特別な意味が含まれている物象を重点的に分析することを通して、谷崎ならではの美意識を考察したい。また、現代文学と結合し、それが隣国である中国に対する影響も述べる。最後に、郁達夫作品を例とし、谷崎やその作品、またはその美意識が中国への影響を触れたい。
目次
概要
中文摘要
序 章 研究目的と先行研究-1
第1節 研究目的-1
第2節 先行研究-1
第1章 『春琴抄』について-2
第1節 谷崎潤一郎の美意識の芽生え-2
第2節 谷崎潤一郎と『春琴抄』-2
第2章 作品における美の表現-3
第1節 古典の美を「三味線」から見る-3
第2節 古典の美を春琴のイメージから考える-4
第3節 永遠の美-5
第4節 不完全の美-5
第3章 谷崎の「美意識」が中国文学にもたらす影響-6
第1節 谷崎文学が中国への伝播-6
第2節 谷崎の「美意識」が中国文学にもたらす影響――郁達夫の場合-7
終章-7
参考文献-9