要旨:文学作品の翻訳は文化交流の重要な手段である。違う時代の読者の要求を満たすと同時に、源文化の特徴を保持するために、文学作品をどのように訳せばいいかということは、訳者の仕事の中で、次第に難点や重点になってくる。文化は言語という形で現れ、民族によって違う。源言語には存在し、源文化の特徴や時代性を反映し、目標言語には対応できる訳語が存在していない言葉は文化語彙と呼ばれる。言語文化語彙は文化語彙に属しており、諺、慣用句や名言等を含めている。魯迅の「阿Q正伝」は世界の名著として、多くの言語文化語彙を含め、旧中国の20世紀初期の文化と思想を反映している。本文は魯迅の作品「阿Q正伝」を中心に、異質化と同質化の翻訳理論に従い、訳者のいる時代が違うことも考えつつ、二つの訳本における言語文化語彙の翻訳策略の違いを分析してみた。対照分析を通して、二つ訳本の中で言語文化語彙の翻訳は主に異質化を用いることがわかった。また同一な言語文化語彙に対して、翻訳策略が違う原因は、訳者自身のいる時代につながると考えられる。
キーワード:阿Q正伝 異質化 同質化 言語文化語彙 対照研究
目次
要旨
中文摘要
1. はじめに-1
2. 先行研究-1
2.1 「阿Q正伝」の英訳本への研究-1
2.2 「阿Q正伝」の日訳本への研究-1
3. 異質化と同質化-2
4.「阿Q正伝」の二つの訳本における「言語文化語彙」の翻訳分析-3
4.1 二つの訳本について-3
4.2 言語文化語彙-3
4.2.1 文化語彙の定義-3
4.2.2 言語文化語彙の定義-4
4.3 言語文化語彙の用例分析-4
4.3.1 諺-4
4.3.2 慣用句-6
4.3.3 名言、典故-7
5. おわりに-10
参考文献-10