要旨:谷崎潤一郎は日本大正時代の文学の巨匠で、作品の文体や形式における芸術性が高く評価され、漢学の分野においても造詣が深い。谷崎は中国を題材とした文学作品を数多く創作し、大正時代の「中国趣味」のブームを率いた。
現在において、谷崎潤一郎に対する研究は主に創作思想、文学イメージ、芸術特色などに集中されており、谷崎潤一郎の中国趣味についての研究はまだ多くない。そのため、本論文は谷崎文学創作の中の二つの転換期前後の代表作品『麒麟』と『鶴唳』について比較分析を行い、谷崎の中国趣味の変化過程を探ってみた。
『麒麟』は初期の代表作の一つであり、中国への憧れを表すことができる。谷崎潤一郎は少年時期から漢学の薫陶を受け、中国への想像で満ちていて、初めての中国典籍題材の小説「麒麟」を創作した。『麒麟』の中で、谷崎の孔子は純粋の「善」に無限に近付く。この完璧な孔子のイメージは谷崎が中国に対する美しい想像の縮図である。その後、1918年、始めての中国旅で、谷崎の「中国趣味」をかき立てって高揚期になった。文学生涯の一つ目の転換点を迎えた谷崎は、帰国後、初めての中国旅をもとにしての多くの作品を作り出した。
『鶴唳』は後期の作品であり、中国趣味の破滅を表した。1926年勃発した北伐戦争で、谷崎润一郎はもう一度中国旅をした。殖民主義の抑圧を受けて、民衆が苦難に満ちた生活を送る現状を認識した。典籍から想像する長い歴史をもつ美しい中国はもう深刻に変えたと分かった谷崎は中国題材の作品が急に減らして、「中国趣味」が消えさった。ここまで、谷崎は二回の転換点を迎えた。『鶴唳』は最後の中国題材の小説になった。
キーワード:谷崎潤一郎 『麒麟』 『鶴唳』 「中国趣味」
目次
要旨
中文摘要
はじめに1
1、中国への初期の憧れ1
1.1、谷崎潤一郎の生い立ち2
1.2、大正時代の日本文壇2
2、「中国趣味」の形成3
2.1、『麒麟』の創作背景3
2.2、作品のあらすじ3
2.3、孔子という人物像の分析4
2.4、中国に対する素晴らしい幻想5
3、「中国趣味」の高揚5
3.1、初めての中国旅5
3.2、帰国後の「中国趣味」作品の創作5
4、「中国趣味」の衰退6
4.1、『鶴唳』の創作背景7
4.2、作品のあらすじ7
4.3、靖之助という人物像の分析8
4.4、消え去った「中国趣味」8
おわりに9
参考文献 10
謝辞11