要旨:三島由紀夫は「日本のヘミングウェイ」と呼ばれ、日本では、川端康成と太宰治とともに戦後文学の頂点に立つ人物である。『金閣寺』は三島由紀夫の長編小説として最も成功した代表作というだけでなく、近代日本文学を代表する傑作の一つと見なされ、海外でも評価が高い作品である。三島由紀夫は実際に起きた「金閣寺放火事件」を直接取材して、金閣寺の美への憧憬から美への反感を経る主人公の動因と心理を描写する。本稿では『金閣寺』を中心として、三島由紀夫の何の美意識を表しているのか、どのように表しているのか、ということを探求している。
本論文は3つの部分から構成される。第一章、『金閣寺』のあらすじとこの作品の創作の背景を分析する。第二章、『金閣寺』における三島由紀夫の美意識の体現ということをめぐって、「孤独の美」、「滅びの美」、「衝突の美」という三つの方面から三島由紀夫の美意識を考察する。第三章、外界と隔絶する孤独な幼年生活及び当時戦後日本社会の現実という点から三島由紀夫の美意識の形成原因を分析する。
本論の研究を通じて、次のようなことが分かるようになった。『金閣寺』における三島由紀夫の美意識は主に孤独、壊滅、衝突三つの要素が含まれる。また、三島由紀夫は幼年体験及び戦時の影響を受けたため、彼の独特な美学理念を明らかにしていた。
キーワード:『金閣寺』、美意識、滅びの美、孤独の美、衝突の美
目次
要旨
中文摘要
はじめに-1
第一章『金閣寺』について-1
1.1『金閣寺』のあらすじ-1
1.2創作の背景-2
第二章 『金閣寺』における三島由紀夫の美意識の体現-3
2.1孤独の美-3
2.2滅びの美-4
2.3衝突の美-5
第三章 三島由紀夫の美意識の形成原因-7
3.1特別な幼年経験-7
3.2日本社会からの影響-7
終わりに-8
参考文献-9
謝 辞-10