要旨:「わけ」と「はず」との比較について研究してみようと思う。本論は、数多くの参考資料に基づき、それらの基本用法について述べてみた。できるだけそれらの違うところを検討していくことにする。
「わけだ」と「はずだ」はあるとき互換できるが、あるとき互換できないのである。また、互換できるときは二つの用法も一定の差があるのである。だから、本稿の目的はこの二つの形式名詞の用法を詳しく考察し、互いに比較して、その異同点を見出すことにある。
キーワード:「わけ」;「はず」;比較;「わけだ」;「はずだ」
「わけだ」と「はずだ」についての研究はいままで多いといえる。「わけだ」は「説明のムード」に属する。いわゆる「説明のムード」というのはある事態を別の事態の説明として述べるムードである。もう一歩進んでいうと、「わけだ」はある事態が成立すれば、理の当然としてかならず成り立つ別の事態を表す(寺村 1984 益岡、田窪 1987)。「はずだ」は「概言のムード」に属する。いわゆる「概言のムード」はある知識を信じるべき根拠はあっても、真とは断定できない知識を述べるムードである。「はずだ」は一般的な知識や記憶から推論、計算などの論理的操作によって得られる帰結を述べるときに用いられる。
形式名詞「わけ」と「はず」は一般的に「説明のムード」と「概言のムード」と解釈される。しかし、具体的に使われると、この二つの形式名詞はよく紛らわしい。たとえば:
通知してあるから、知っているはずだ。(わけ○)
あの人の帽子なら、きっと大きいはずだ。(わけ×)
簡単に「わけだ」と「はずだ」の基本用法を分析し、比較してきた。論文を書いていた時には、色々な資料を調べて必要な部分を取り入れてこの論文を完成した。その時も、大変な困難に襲われたが、皆様のおかげで、順調に書き終わった。
「わけだ」と「はずだ」は頻繁に使われている表現であるが、よく混用されることがある。それで、ここで一応この二つの表現を考察してきた。勿論、まだ足りないところがたくさんあると思うが、もし、この考察の結果が日本語の勉強に少しでも役に立てば、この上もない光栄だと思う。