要旨:少子化、高齢化の進行で、日本における既婚女性の社会進出は目覚しくなって、職場に入るのも後戻することのない大きな流れであると言えよう。しかし、 日本の女性就職の特徴は M 字の形をしている、つまり、ほとんどの女性は学 校を卒業して暫く仕事をし、結婚や妊娠、出産・育児で仕事を辞めて、家庭に 入り、人の妻として、母親として、家庭主婦になるのである。この中国と違っ ている就職特徴を奇異に感じ、またこの問題に筆者の好奇心が沸いてきた。筆 者は日本における既婚女性の家庭と仕事との両立の困難とその問題に隠され ている原因を探りたい。
本稿は主に三つの章からなっている。 第一章では主に日本における既婚女性の就職状況を考察した。女性労働の変遷とその社会的背景、女性の就職特徴、そして女性の結婚、出産・育児に伴う 就職実態など考察した。
第二章では結婚、出産・育児に直面する場合、日本の女性が今までやってい た仕事を辞めて家庭に入り、妻として、母親として、家庭主婦になる深い原因 について検討した。女性自身の就職意識及び現行の育児休暇制度が継続就職に 対する影響もまとめた。「男は外で仕事、女は家庭で家事・育児」という日本 の伝統的な性別役割分業意識及びそれに基づいた日本の現行の社会制度(税金 制度、賃金制度、年金制度など)は、既婚女性の就職意識や就職欲望が制約さ れているのを分析した。
第三章では、既婚女性の就労の目的を考察して、その目的は主に経済のため であることが分かった。経済的に余裕があれば、数多くの女性にとっては家庭 に入り、家庭主婦になるのが望ましい。特に、子育ての段階では、数多くの女 性は仕事を辞め、全力子育てをする。子供が小学校に入っても、多くの女性は 依然として、パートタイムを選ぶのである。その継続就職を阻害する原因を三 つの要素から分析した。
終わりでは、以上の分析をまとめた。日本の現行の企業の慣行雇用制度、 税金制度、賃金制度、年金制度などの社会制度が日本の女性の家庭と仕事との 両立を阻害しているのが見られる。これらの社会制度は「男は外、女は家」という日本の伝統的な文化意識と深い関係があると思う。日本の就職に関する社 会制度と人々の就職意識がその伝統的な性別役割分業意識が強く影響されて いる。だから、今の日本では少子化、高齢化などの原因で、労働力不足がます ます深刻になって、多くの女性が社会進出、職場に入っている。それにもかか わらず、今日の日本の既婚女性の就職実態を大きく変えるのは依然として難し いと見える。既婚女性が仕事と育児、家事に直面する場合は、やはり仕事を辞 め、家庭に入るのを選ぶと思われる。
キーワード:伝統的家庭意識 家庭 仕事 両立