はじめに
女性の「社会進出」とは、従来、家庭に囚われている女性を、そこから解放して、男性が占有してきた「社会」(官庁、企業と言った家庭以外の場所)に進出させることである。
現在、女性の社会進出は女性の地位向上というイメージがある。日本の女性の就労者数は確かに増加している。男女比でも6対4の割合である。しかし、実際に女性の地位向上は進んでいるのだろうか。
また、日本では年々少子化が進んでおり、若年労働力不足の時代を迎え、女性の労働力をフルに活用することが重要な課題となっている。それにも関わらず、現実では、女性が家庭で家事と育児を負担し、社会においても実質的な女性への差別が解消されたとは言い難い。本稿で考察するように、まだまだ女性がその能力に応じた正当な社会的評価を得ているとは決して言えないのである。
このような現代の女性が置かれた社会的地位に関して、本稿では、家庭と社会の両側面から、女性観や結婚観、また女性の社会進出と家庭及び社会の諸問題について検討していくことにする。