要旨:高度経済成長が終わった後、日本社会は伝統的な家族制度や社会制度が衰弱し、また宗教信仰も次第に薄れてしまい、さまざまな深刻な社会問題が浮かび上がりつつある。現代日本社会は「無縁化」していると多く指摘されている。この「無縁化」の原因を考察する価値が小さくないと思われる。本稿では、具体的な事例とデータを取り上げながら、地縁から社縁及び家族関係までの変化を考察する。そのほか、日本「有縁社会」の再建に関しても言い添いたい。まずは、日本の無縁社会の原因は、グローバリゼーションの広がり(いわゆる外因)及び日本伝統文化の衰退(いわゆる内因)にある。換言すると、日々に広がるグローバル化につれて「血縁文化」が重要視されない西洋価値観が日本社会に浸透していく。それで、「地縁」は崩壊し、「社縁」は経済不況の中で維持できず、家族関係も薄れてしまう。日本伝統社会を支えてきたこのような種々の「絆」が希薄化し、「無縁」が求められた時代に突入してしまう。本稿の助言としては、暖かい「絆」でつながる「有縁社会」を再建するには、個人、NPO、自治体また国の努力と連携は不可欠であると考えられる。
キーワード: 無縁社会;絆;社縁;地縁
目次
中文摘要
要旨
第1章 はじめに-1
1.1 「無縁社会」と言う言葉の由来-1
1.2 本研究の観点-1
第2章 日本社会の現状-3
2.1 無縁社会の様態その一 ――「直葬」-3
2.2 無縁社会の様態その二 ――「結婚式に代理人」-3
2.3 無縁社会の様態その三 ――「単身化」-3
2.4 無縁社会の様態その四 ――「特殊清掃」-3
第3章 『無縁社会』の成因について-5
3.1 無縁社会が求められた時代――孤立できない社会-5
3.2 高度経済成長ーー有縁社会からの脱出劇-5
3.2.1 自由で豊かな都会の魅力-5
3.2.2 衰弱してきた地縁-6
3.3 伝統文化の衰微-7
3.3.1 変わる働き方による社縁の喪失-8
3.3.2 薄れてきた家族の絆-9
第4章 無縁社会の影響と有縁社会の再建-11
4.1 無縁社会の影響-11
4.1.1 無縁死への恐れ-11
4.1.2 人間関係の重要性を再認識する-11
4.1.3 社会制度を見直す-11
4.2 有縁社会の再建-11
4.2.1 地域社会のつながりを強化しよう-12
4.2.2 公的なセーフティネットを強化しよう-12
第5章 おわりに-15
5.1 本研究の新しい観点-15
5.2 本研究の意義と欠点-15
5.3 今後の展望-15
参考文献-17
謝 辞-19