要旨: 本稿は日本語専攻大学生における日本人イメージを研究対象とする。研究の結果として:
第一、日本人直接接触経験を持っている日本語専攻大学生は日本人に対して「礼儀正しい」、「真面目な人、真剣な人」、「厳しい、慎重」、「きれい、さっぱり」、「親切、優しい」、「気が小さい、静か」、「迷惑をかけることを嫌う」、「規則を守る、原則重視」といった印象を持ちやすく、「ずるい、本心が分からない」、「過去を反省しない」、「残忍、暴力的」といった印象を持ちにくいことが明らかになった。
第二、直接接触経験者(中国国内で日本人と直接接触経験する経験者、滞日経験者)の中で、接触の量が多い人と接触の量が少ない人との比較分析を行ったところ、接触経験が多い者の出現頻度が接触経験が少ない者より高かったのは「礼儀正しい」、「真面目な人、真剣な人」、「厳しい、慎重」、「きれい、さっぱり」のイメージであった。一方、「冷淡である」、「紋切り型、堅苦しい」、「自己中心、付き合いにくい」のイメージは、接触経験の多い者の出現頻度が経験の少ない者より低かった。
第三、滞日経験者と未経験者の日本人イメージを比較したところ、滞日経験者の出現頻度が未経験者より高かったのは、「親切、優しい」、「迷惑をかけることを嫌う」、「規則を守る、原則重視」の3つであった。これに対して、「残忍、暴力的」、「歴史歪曲、過去を反省しない」の2つは、滞日経験者の出現頻度が未経験者より低かった。
日本人イメージは異文化知識として異文化コミュニケーションを促進することが考えられる。一方、先入観が異文化コミュニケーションを阻害する。自分の直接接触経験を通して形成した日本人イメージがより客観的であると考えられる。
キーワード:日本語専攻;日本人イメージ;直接接触経験;滞日
目次
摘要
要旨
1 研究の背景と目的1
2 先行研究と本稿の特徴2
3 日本語専攻大学生の日本人イメージに関する調査3
3.1 調査の概要3
3.2 分析方法4
4 考察1:日本人イメージと直接接触経験との関係 4
4.1 日本人イメージと日本人との直接接触経験4
4.2 日本人イメージと滞日経験7
5 考察2:直接接触経験者間の日本人イメージの相違8
5.1 直接接触経験者が持ちやすいイメージ8
5.2 直接接触経験者がもちにくいイメージ9
6まとめ10
参考文献10
謝辞12