要旨: 中曽根康弘は通商大臣、防衛省長官、内閣総理大臣などを歴任し、戦後の日本政治舞台において影響力の大きい人物で、また中国との交渉が多い政治家の一人でもある。本論は、中曽根と中国との交渉を紹介したうえ、その対中認識と政策及び首相在任中の中日関係などを検討してみた。「戦後総決算」の風潮の中で、靖国神社を参拝したりするなどから中曽根の歴史認識には中日関係を害するものが見られる一方、「中日友好四原則」への賛同、胡耀邦と共同で「中日友好21世紀委員会」を発足させ、未来志向で両国関係を順調にもっていくために努力したところもある。特に、中日交流を促進するため、青年の交流を提唱し、自らを投じることは、政治不信がますます強まり難航中の中日関係には中曽根のような遠い目でものを見る政治人物が必要であると主張したい。
キーワード:中曽根康弘;中日関係;歴史認識;中日友好
目次
摘要
要旨
1 中曽根康弘と中国
1.1 中曽根という人物-1
1.2 中曽根と中国-2
2 1980年代の中日関係及び中日交流-4
2.1中国の改革開放政策に応じた中日交流 -4
2.2 「戦後総決算」による「中日友好」への日本側の反動-5
3 中日関係における中曽根内閣の抱えた課題-7
3.1 中日経済協力について-7
3.2 歴史認識について-8
3.2.1靖国神社参拝-8
3.2.2教科書問題-9
3.2.3光華寮事件-10
4 中曽根が中日関係への貢献-11
4.1 中日友好四原則-11
4.2 中日友好21世紀委員会-11
4.3 中日青年友好交流センター-11
4.4 引退後の中曽根の努力-12
終わりに-13
参 考 文 献-14
謝 辞-15