要旨
創作の環境でもいい、物語の背景でもいい、『家』は近代日本における封建的な家族の衰えを示す代表作だといえる。この主題に関する研究が数多くである。しかし、大部分は家族内部の衰えに局限して、「屋外の暗さ」はあまり表現しなかった。その故に、「暗さ」に関する研究が不足である。三吉兄弟の仲間、橋本夫婦間の関係、及び三吉の目覚めで、小説はだんだん衰えていく封建的な家族を描いた。小説は家族の衰えを中心としたが、読者に伝えていく思想はそんなに簡単ではない。家族から脱去したかった三吉、迷った三吉、家族に妥協した三吉、その過程は「不徹底的な衰え」を示した。
「不徹底的な衰え」は範囲に二つの意味がある。一つは、三吉を中心に、家族の不徹底的な衰えである。もう一つは、「屋外の暗さ」を指す。日本全国において、家族の不徹底的な衰えである。
本文なら、「大家族の衰え」と「不徹底的な衰え」をめぐって、屋内に発生した様々些細なことを通じて、封建的な家族の衰えの過程や原因などを示す。藤村の意向をのみこんで、「屋外はまだ暗かった」社会の面で、大家族の衰えはまだ不徹底的である。そこで、日本の封建的な大家族の衰えを正しく理解する。
キーワード:島崎藤村 封建的な大家族 不徹底
目次
中文摘要
要旨
1 はじめに-1
1.1 問題意識-1
1.2 先行研究-1
1.3 研究意義-2
2 『家』について-3
2.1 あらすじ-3
2.2 屋内と屋外-3
3 大家族の衰え-5
3.1 遺伝説と家族文化の流れ-5
3.2 家制度-6
3.3家督制と父家長制-7
3.4個人主義-7
4 不徹底的な衰え-9
4.1不徹底的な明治維新-9
4.2維新後の新(旧)民法-10
5 おわりに-12
参考文献-13