要旨:谷崎潤一郎は日本の著名な耽美主義作家である。谷崎の創作活動は五十五年にも渡して、明治四十三年から昭和四十年まで、ずっと創作を続けていた。その間、三つの時代を渡した。数多い文学作品と年間長い文学生涯で日本文学史上で谷崎潤一郎は「谷崎朝」、「大谷崎」と称される。谷崎氏の文学作品を見渡して、その中で最も目立ったのは作品で表現された女性に対しての無条件の崇拝心理である。『刺青』は谷崎潤一郎が文壇にデビューした処女作として、谷崎文学の原型とも言え、潤一郎の女性崇拝の始まりとも言えるだろう。
本稿は『刺青』から見た谷崎潤一郎の女性崇拝を分析しよう。四つの部分からなっている。第一部分は主に『刺青』に出た女性崇拝を分析する。第二部分は『刺青』に反映された女性崇拝の特徴を分析する。第三部分はほかの二つの作品においての女性崇拝を分析する。第四部分は谷崎潤一郎の女性崇拝思想の形成原因を分析する。
『刺青』で、偏屈で高慢な刺青師清吉は長年真っ白な素足を持った女性へ追求続けていた。娘と会った後、女郎蜘蛛とともに自分の魂も娘の背に刺した。清吉は甘んじて娘の最初の肥料になったことによって女性崇拝が表現された。これは最初から谷崎潤一郎の作品で表現された美意識――「すべて美しい者は強者であり、醜い者は弱者であった」に応じた。
谷崎潤一郎の処女作である『刺青』に、『春琴抄』と『痴人の愛』を加えて、三つの作品が全部女性崇拝という思いのたけを尽くした。それらによって、女性崇拝は谷崎潤一郎の根底にある特質であり、谷崎潤一郎の文学生涯の著しいテーマでもあるという結論が証明できた。
キーワード :『刺青』 女性崇拝 原因 官能 女性美
目次
要旨
中文摘要
はじめに1
1「刺青」から見た谷崎潤一郎の女性崇拝2
1.1 「刺青」のあらすじ2
1.2 人物についての解読2
1.2.1刺青師――清吉2
1.2.2刺青された娘3
1.3 「刺青」に出た絵への解読3
1.3.1暴君紂王の寵妃、末喜を描かれた絵4
1.3.2「肥料」と命じた絵4
2 「刺青」に反映された女性崇拝の特徴4
2.1 官能主義の女性美5
2.2 至上主義の女性美5
3 ほかの作品においての女性崇拝の表現6
3.1「春琴抄」に反映された女性崇拝6
3.2「痴人の愛」に反映された女性崇拝6
4 女性崇拝の形成原因7
4.1家庭生活7
4.2 曲折な愛情経験7
4.3作家たる苦しい進路8
おわりに8
参考文献10
謝辞11