要旨: 川端康成は幼い頃両親を失い、寂しく無口な性格を身につて、事に対面冷淡な態度をとるようになった。そのため、彼の初期の作品であった『伊豆の踊子』と『魂を呼び戻す祭典の一景』などは、下層の女性に対して同情をもって、社会のある現象を反映した。しかし、彼がそれから日本の古典文学と禅宗の思想の影響を受けた。そこで次第に現実を離れていった。しかし頭の中に残っていた封建主義の思想が弱まるどころか、かえって強くなっていく。『雪国』はほぼ彼の前期と後期の思想の変化の分水嶺と言える。彼は優美な筆致で、若い芸人の体つきや声を描き、そして雪国の独特な景色を引き立って見きれない情趣と境界を創造し、人に強烈な感染をもたらす。『古都』の言葉遣いは華麗ではない。それにも関わらず、読みやすい作品となった。小説は対話や心理的な描写によって、読者に親切な感覚を与える。『古都』の中て、吉郎は最も典型である。この人物には多かれ少なかれ川端康成の影がある。このような影は、古い物事にたいする強情、新しい物事に対する排斥であるとも言える。『雪国』と『古都』、川端康成の両作品は異なる風格や創作の視角を表わしている。この両作品を通じて、川端康成の戦後の作品は、社会の現象の関心から人間性の美しさへと筆先を一転し、創作する視角も個人の視角から伝統あるいは文化の視角に転じたのである。
キーワード:川端康成、創作の背景、創作の視角、変化、原因
目次
要旨
中文摘要
はじめに-1
1.川端康成の作品についての先行研究-
1.1『雪国』について-2
1.2『古都』について-3
2.川端康成の精神の軌跡-3
2.1「美しさ」の変化-4
2.2「言語観」の変化-4
3.川端康成の文学創作の発展と変化-5
3.1両作品の共通点-5
3.2両作品の相違点-6
4.変化の原因-7
5.おわりに-7
参考文献-8
謝 辞-10