要旨:第二次世界大戦の間に、日本から始めた侵略戦争は中国更には世界に深刻な災難をもたらしたが、日本も免れなかった。戦後の傷だらけな国家と物資の欠乏する生活に直面し、日本の文学者たちは改めてこの戦争を見直し始めた。
『海と毒薬』という作品は日本で有名な作家である遠藤周作の代表作として知られている。小説は第二次世界大戦に起きた歴史事件を素材として創作されている。二次大戦の末期、日本九州大学の医学部は軍の指示の元で、捕虜になった8人の米軍のパイロットに対してきわめて残虐な生体解剖という実験を行った。この小説においては、遠藤周作は焦点を単なる苦難性の生体に行った残酷な実験だけにあわせるのではなく、実験自身に対する描写はただ作品全体の一部しか占めていない。作家の関心は実験を実行した人、特に日本人の「小人物」に向いている。作家はいくつかの「小人物」に対する描写を通して、日本の軍国主義の罪悪行為を暴露し、事件の本質を究め、日本人の罪と罰を言い出し、さらに深い反省を行っているのである。
本論文は主に三つの部分からなっている。第一部分には遠藤周作と彼の作品『海と毒薬』の内容と創作背景を紹介することにする。第二部分には「小人物」に対する描写を分析し、戦争の罪と救いに対する作家の認識を探検することにする。第三部分には作者の戦争反省の形成原因及び彼の代表する「第三新人の派」の形成を分析しようとする。
要するに本論文においては、遠藤周作の作品である『海と毒薬』を分析し、彼の戦争反省を究め、このような深い戦争反省を形成する原因を検討することによって、「第三の新人」の戦争観を認識し、遠藤周作の作品の価値を深く理解しようとしている。
キーワード:遠藤周作 『海と毒薬』 戦争反省
目次
要旨
中文摘要
はじめに-1
1.遠藤周作と『海と毒薬』について-1
1.1遠藤周作の紹介-1
1.2『海と毒薬』の紹介-2
1.3創作背景-2
2.罪悪と救済-3
2.1中国での暴行と殺人経験を述べる「私」-3
2.2盲目的に生体実験を服従する勝呂-4
2.3冷酷に生体実験を引き継ぐ戸田-4
2.4無口な人たちを代表する上田-5
3.戦争反省の成因-6
3.1作者の成長経験-6
3.1.1学生時代の弱さ-6
3.1.2病院生活-6
3.2作者の宗教心-7
3.2.1カトリック教の宗教啓蒙-7
3.2.2外部文化の宗教的価値観-7
3.2.3作品に現れた宗教観-8
3.3「第三の新人」の興り-8
おわりに-9
参考文献:-11
謝辞-12