要旨:日本も中国も、同じ東洋に位置している農耕社会の国家として、「家」制度が各自の社会に大きな役割を果たしている。しかし、日本の「家」制度を考察して、中国の「家」と比べると大きな差異を示されている。
キーワード:家;制度;伝統;中国;日本
中国と日本との間の、長い歴史的な交流の中で、日本が中国から受容してきた文化交流の結果、一般社会慣習として、現代まで影響を受けてきた事柄は、極めて多様である。この点については、極めて身近な問題を中心にして、「家」制度に視点をおいて、中国と日本との間に見られる共通点と相違点を比較考察し、これを基盤として派生する問題を考察することにしたい。
中国の「家」は、家、家族、宗族という三つの部分で構成されている。家は、同居して共同生活している親族団体を指しているが、通常二、三世代を含んでいて、祖父母や既婚の息子と未婚の孫などが含まれている。祖父母が亡くなると、一般に同輩の兄弟が分居する。最高支配者を「家長」という。家族は、家の総合体として、同じ先祖の男系後代たちによって構成され、範囲は普通四世代までだが、最高者を族長という。宗族、或は宗法組織は、同じ姓の同族組織として、封建制度が廃除されて以来、宗法組織も崩壊され、現在の宗法組織はもう本来の意味での宗法組織でなくなった。