【要旨】本論は日中の鬼文化を対象にして検討してきた。その研究を通じて、次のことが明らかになった。日本は多かれ少なかれ中国の鬼文化の影響を受けながらも、自国の独特な鬼文化を形成した。両国の鬼に対しては、その意味、言語表現、イメージなどの面で微妙な違いがあることに気が付いた。本論は鬼に関しての実例をあげて、両国の鬼文化の異同を分析した。日中両国とも、仏教の影響を受け、「鬼」は強い、悪い、怖いなどの意味を持っている。また、排外意識の点におけ、鬼も外族人に対する一つの呼び方として用いられる。相違点として、中国では鬼はよく死んだ人の魂を表しているが、、日本ではそのようなイメージはない。また、出没する時間と場所などの違いも見られる。最後に、両国の鬼は人間の行動を制限してきているという点を指摘した。
【キーワード】鬼;日本;言葉;イメージ;異同;役割
摘要:本论文以中日鬼文化为对象进行了研究。通过研究发现,日本虽然受到了中国鬼文化的影响,但逐渐形成了自己独特的鬼文化。两国的鬼文化在“鬼”字的意思、语言运用、形象等方面都有着微妙的差异。本文通过举例,对两国鬼文化的异同进行了对比分析。中日两国都受佛教影响,“鬼”字都有强大、不吉利、恐怖的意思。另外在对外族人(尤其是侵略者)的蔑称上两国也有类似的“鬼”字的词汇。但是中国的鬼经常是指人死后的灵魂,而日本的鬼很少有这种形象。另外,两国鬼出没的时间和场所等方面也有不同。最后,本论文指出了两国的鬼自古以来就约束人行为的这一点。
【关键词】鬼;日本;词汇;形象;异同;作用