要 旨:冠婚葬祭というさまざまな挙式の中で、婚にあたる結婚は変遷による変化があるとしても、人生の中の重要なイベントであることに変わりはない。婚礼は伝統的かつ民俗的な背景を持ち、それぞれ地方の風俗や宗教の影響を受け、形成されてきたものである。日本の結婚式は多様化してきたとはいえ、神前結婚式がその多くをしめている。神前結婚式は大正天皇の結婚にならい、明治時代33に日比穀大神宮で行われたのが始まりだといわれている。その後、神前結婚式は普及し、戦後、結婚式場やホテルで神殿を設け、盛んに行われるようにった。それでは、なぜ神前結婚式は明治時代生まれて、その後盛んになったのだろか。神前結婚式の誕生と流行の過程についての研究が多いが、その誕生や流行の原因についての研究まだ少ない。本稿では神前結婚式が明治時代生まれて、戦後盛んになった原因は政府の政策と経済の発展、人々の意識にあると考える。以下、神前結婚式と政府政策や経済や人々の意識との関係について、考察していく。
以下では、まず政府の政策と神前結婚式について分析し、次に経済と結婚式の化を考察し、最後に人々の意識との関係について述べる。