要旨:今の東野圭吾は日本の国民作家と言っても過言ではない。彼の作品は二年間も経たないうちに、中国各都市のベストセラーランキングに上り、人気が上昇している。東野圭吾の数多くの傑作の中で、第6回本格ミステリ大賞と第134回直木賞などを受賞し、映画化もなされた『容疑者Xの献身』は、最も人気のある作品の一つである。
東野圭吾の推理小説家としての独特な創作理念は人々からに称賛されている。社会問題に関心を持ち、人間性を掘り出そうとする思想は常に彼の作品の中で反映されている。本文では、『容疑者Xの献身』から以上の二つの特徴を考察するものである。まずは、作品のあらすじと登場人物を紹介し、主人公の心理描写及び緻密なミステリーを詳しく分析し、「献身愛」という理念を読み解く。次に、平成大不況下で急増したホームレス、夫のＤＶと母子家庭、ストーカーなど作品に出てくる社会諸現象を取り上げ、作品の「社会性」を透視してみる。最後は『容疑者Xの献身』に基づいて、作者がデビューから二十年あまりの代表作をあわせて補足的に対照しながら、題材によって分類し、作者の一貫的な創作理念―人間性と社会性を論じていきたいと思う。
キーワード：東野圭吾；創作理念；献身愛；社会性；人間性
目次
中文摘要
要旨
第1章 はじめに-1
1.1 東野圭吾の略歴-1
1.2 東野圭吾の作風-1
1.3 本研究の目的-2
第2章『容疑者xの献身』の概要-3
2.1 『容疑者xの献身』のあらすじ-3
2.2 『容疑者xの献身』の主な登場人物-3
2.2.1 犯人役――石神哲哉と花岡靖子-3
2.2.2 探偵役――湯川学と草薙俊介-3
2.2.3 被害者――富樫慎二と『技師』-4
第3章『容疑者xの献身』に見られる「献身愛」-5
3.1 「献身愛」の生み出す-5
3.2 「献身愛」の両方-5
3.2.1 石神の行動-5
3.2.2 花岡靖子の態度-6
3.3 湯川学の推理-6
3.4 「献身愛」の崩れ-6
3.5 東野圭吾の「人間性」――「献身愛」-7
第4章『容疑者xの献身』における「社会性」-9
4.1 ホームレスが見えない社会-9
4.2 ストーカー問題-9
4.3 夫のDVと母子家庭-9
4.4 東野圭吾の社会性-10
4.4.1 学園物を題材にした作品-10
4.4.2 科学を題材にした作品-11
第5章 おわりに-13
5.1 本研究の新しい観点-13
5.2 本研究の意義と不足点-14
5.3 今後の展望-14
参考文献-15
謝 辞-16
