要旨:戦後60~70年代における日本が米国の要求に応じながら政治低姿勢を外交政策の手段として、経済的な国益の推進には積極的に組み込んでいた。こういう外交の内向性のほか、経済が発展するにつれて、日本外交は経済力を外交政策の手段として国際社会における地位の向上を図ろうという外向性も明らかであった。そして、当時の日本外交は内向性にはずれると、外向性の発展が必ず失敗する。対米基軸と経済中心主義という日本外交の内向性は、戦後60~70年代延いては現在までの日本外交にはずっと主導的な役割を果たしていると見ることができよう。しかし将来、ただ外交の内向性を主流とすると同時に外向性との相互作用をも両立させ続ければ、日本は国際政治社会で順調に生存していけないかもしれない。仮に戦後70年代のような国際的動乱期を再び迎えたら、日本はもう一度波間の木の葉のように翻弄されるに違いない。このような外交モデル、戦後60~70年代から現在に残っている重い課題だと言ってよい。国際政治社会における地位の向上と自主外交を実現するため、根本的な自省を行い、基本枠組みを変えるしかないだろう。
キーワード: 日本外交;内向性;外向性
目次
中文摘要
要旨
第1章 はじめに-1
1.1 戦後日本外交性格の概略-1
1.2 1960~70年代—戦後日本なりの外交性格形成の肝心な時期-1
1.3 本研究についての紹介-2
第2章 戦後60~70年代における日本の外交-3
2.1 戦後60~70年代における日本国内外の環境状況-3
2.2 戦後60~70年代における日本外交政策の概略-5
2.3 戦後60~70年代にみる日本外交の性格-5
第3章 戦後60~70年代にみる日本外交の内向性-7
3.1 内向性の定義-7
3.2 内向性の外交現実表象-7
3.2.1 日米関係と安保政策の展開-7
3.2.2 高度成長による経済先進国に転進-7
3.3 内向性の形成原因-8
3.3.1 対米基軸による国際環境依存-8
3.3.2 経済立国のコンセンサス-8
第4章 戦後60~70年代にみる日本外交の外向性-9
4.1 外向性の定義-9
4.2 外向性の外交現実表象-9
4.3 外向性の形成原因-9
4.4 対米基軸にはずれた外向性の失敗及び原因-10
4.4.1 対米自主外交を模索する外向性の失敗-10
4.4.2 失敗の原因-10
第5章 おわりに-13
5.1 まとめ-13
5.2 本研究の意義と欠点-13
5.3 今後の展望-13
参考文献-15
謝 辞-16