要旨:夏目漱石は川端康成、大江健三郎、村上春樹と比べれば、その名前はおそらくあまり中国人に知られていない。日本に「先生」と呼ばれる人はかなり人に尊敬され、すべての文人は「先生」と呼ばれるわけではないが、夏目漱石は漱石先生と呼ばれる。日本近代の三人の文豪の一人の漱石先生は短い創作の生涯に、優れた作品をたくさん発表した。今になっても、彼の作品の多くは人気を持っている。これはおそらく彼の同時代の作家のできないことであろう。後期三部作のひとつの『こころ』について、林少華先生たちの言ったように、『こころ』は夏目漱石の最も人をひきつける力のある作品である。『こころ』は1914年に「朝日新聞」に連載して、今まで何回も印刷されて、今も日本の中学生の大好きの文学作品である。1914年、日本は資本主義から帝国主義に変わりつつ、資本主義の輝きはだんだん失い、自分を反映し、人間性の肯定と解放を目標とする個人主義の弊害が露出していく。『こころ』はそいう背景で作られた。漱石先生は一生でも明治社会に批判という態度を断固と取っている。利己主義を指摘し、打ち壊すのは夏目漱石の独創の主題、それも大きな業績である。『こころ』はまぼろしく落ち着いたまた人の心を揺り動かす筆致を用いて、人間性のおくの原始的な悲しみを書き、人の心を打ち深く考えさせる。この作品の人物像と心理世界についての読解は、大きな変革に置かれた中国社会の私たちには、大きな意味を持っている。
キーワード:こころ;夏目漱石;人物像;利己主義
目次
摘要
要旨
はじめに:-4
1夏目漱石と『心』-5
2「先生」について-6
2.1温情に包まれた利己主義-6
2.2孤独である人生-8
2.3人間性の反省-9
3「K」について-11
3.1海陸両棲動物の代表-11
3.2伝統道徳と新しい道徳の表現者-12
3.3明治時代の一種の宿命-13
4「静」について-14
4.1男の付属品として生きていた「静」-14
4.2静かである「静」-14
4.3「K」と「静」-15
終わりに-17
参考文献-18
謝辞-19