要旨:あいさつの中日翻訳に関する研究は、中国では個別的、概説的なものは散見するが、言語理論の視点から、あいさつ翻訳に関する体系的、総合的に行われたものは非常に少ない。「あいさつ」という言語行動には、時代、社会とともに変化する一面もあれば、一定の構造、法則性を持つものとして人々に習得される、いわゆる習慣的な内的恒常性もある。それ故に、あいさつ言葉の翻訳は異文化間で行うことは困難なことである。あいさつは社会関係と関わることである以上、社会によって、種々違っているところがあるとは当然予想される。単にその言葉を置き換えて、使えたとしても、言語社会に内在している文化、特に生活様式、対人関係などを合わせて身につけていなければ、正しく理解しあえるような「相応しい」あいさつの対訳をすることができるとは考えられないからである。したがって、あいさつにおける中日両言語の相互翻訳のストラテジーを検討し、言語理論を踏まえて、中日あいさつ対訳を研究することは必要だと思われる。また、異文化コミュニケーションにおいては、異なる言語、文化による誤解、摩擦が大きな問題となっているのが故に、翻訳中に様々な問題解決への資料を提供することも、本論のもう一つの目的となる。
キーワード:あいさつ言葉;対訳;交流;文化;社交用語
目次
摘要
要旨
1 中日あいさつについて-1
1.1 問題の提起-1
1.2 研究の意義と目的-1
1.3 研究対象-1
2 日常生活におけるあいさつ言葉の翻訳-2
2.1 あいさつとは-2
2.2 出会いと別れのあいさつ-4
2.2.1 初対面のあいさつ-4
2.2.2 出会いのあいさつ-6
2.3 お礼とお詫びのあいさつ-10
3 あいさつ言葉翻訳法へのアプローチ-11
3.1 省略性――加訳-11
3.2 定型性と多様性――ポライトネス·ストラテジー-12
3.3 待遇表現性――帰化-13
終わりに-14
今後の課題-15
参考文献-16
謝 辞-17