要旨
役割語は、大阪大学大学院文学研究科教授金水敏(きんすいさとし)が2003年提唱された概念である。ある特定の言葉づかい(語彙・語法・言い回し・イントネーション等)を聞くと特定の人物像(年齢・性別・職業・階層・容姿・風貌・性格等)を思う浮かべることができるとき、あるいはある特定の人物像を提示されると、その人物がいかにも使用しそうな言葉づかいを思い浮かべることができるとき、その言葉づかいを「役割語」と呼ぶ。今論はテレビドラマにおける役割語のヤクワリを説明するために、「浅が来た」というドラマを取り上げて、その中の具体例を見ながらそれはどんな役割を果たしているかを考察する。そのためには、まず役割語の由来や発展を説明するうえで、今まで研究が進んでいる分野とは違い、テレビドラマの分野において、役割語はそのドラマの時代背景の表現から人物の性格表現や話全体の流れを進めるにまで、大きな役割を果たしていることを主張する。これは今まであまり研究していない新たな分野として、研究していく価値がある。
キーワード:テレビドラマ、方言、女言葉、男言葉、ステレオタイプ
目次
要旨
中文摘要
1. はじめに-1
1. 1 動機と目的-1
1. 2 構成-1
2. 役割語-1
2.1 概念-1
2.2 方言-2
2.3 女ことば-3
2.4 男ことば-5
2.5 まとめ-7
3. テレビドラマ「あさが来た」における役割語-7
3.1 「あさが来た」あらすじ-7
3.2 関西方言(大阪)-7
3.3 女ことば-9
3.4 男ことば-11
4. 役割語のヤクワリ-7
4.1 主人公の性格を表すヤクワリ-13
4.2話全体の流れの推進を表すヤクワリ-16
5. 終わりに-16
5.1 テレビドラマの役割語の発展-16
5.2 まとめ-16
参考文献-18