要旨
中日両国は長い文化交流の歴史を持っている。両国の文化が同じ源流に起源しながら、違う方向に向かっている。日本人は桜(以下、桜の木と桜の花の両方を指す)を愛し、散るときの凄まじさの故に。中国人は梅(以下、梅の木と梅の花の両方を指す)を愛し、咲くときの寒さに不屈な性格の故に。日本人は死を重んじ、死の意義と死の方式とも。中国人は生を重んじ、いくら苦しくても、めげずに生きようとする。
桜と梅は日中両国の国花として、両国の人々に愛されている。桜と日本人の生死観についての研究が多いが、梅と中国人の生死観に関する研究は意外に少ないのである。本文は先行研究を踏まえ、両国国民の桜と梅に対する感情から、生死観の表現と関連について、初歩的ながら探っていきたい。
桜は日本の国花で、日本民族の象徴で、日本民族の基本的な特徴を反映していると言われている。古代日本から現在の日本まで、詩、散文、小説、映画、歌、絵画のなかで、桜と関連する描写と賛美が溢れている。梅は伝統的な名花である。梅はその優雅さで古今詩人に賛美され、その寒さに屈しない性格で民族の真髄として尊敬される。
顔も建築も似ており、ご飯を食べるときお箸を使う、などから見ると、中国と日本の文化が近いのではないかと、欧米人が見ているが、実は大間違いである。桜と梅の特質の違いだけでも、二つの民族の性格に大きな違いが存在していることが明らかである。
日本の武士文化精神は、宇宙は虚のもので、生死は無常、人の能力が有限で、必ず死ぬため、人生の重点がどのように死ぬかにあると考える。桜のように美しく死ぬことは天皇への忠誠や家族の名誉を守ること示すものである。中国人は、梅の性格のように、苦しいときも、忍耐力強く、勤勉に奮闘し、成功へと進むのである。その精神は、いくら苦しくても、自分と子孫を生存させるんだというもの。よって、中国文化は代々引き継がれ、永遠に存続していくだろう。
キーワード:桜;梅;死生観
目次
要旨
中文摘要
1、はじめに1
2、日中両国の国花およびそれを好む表現1
2.1日本の国花――桜について1
2.2中国の国花――梅について1
2.3桜を好む表現2
2.4梅を好む表現2
3、日中両国の国花およびそれを好む理由3
3.1桜を好む理由3
3.1.1 桜と無常観4
3.1.2 桜と美の意識4
3.1.3 桜と武士道精神4
3.2梅を好む理由4
4、国花は死生観との関わり5
4.1 桜は日本人の死生観との関わり5
4.2 梅は中国人の死生観との関わり6
5、おわりに6
参考文献8
謝辞