要旨:日本語の習得では助詞部分がいつも日本語学習者にとって一つの難点である。「だけ」、「ばかり」、「しか」という三つの言葉はみな「限定」の意味を持つが、どのような場合で使い方が共通するか、どのような場合で三者の一つしか使えないか、日本語学習者を悩ませる問題である。その三つの言葉の使い分けを知るためには、それぞれの比較と対照を通じて更なる深い理解を得るしかない。しかし、過去の文法辞書ではその三つの言葉に関する比較と説明は多くない。例えば、松下大三郎氏の『標準日本口語法』と佐久間鼎氏の『現代日本語法の研究』では関連の説明があるが、その三者の意味の違いに対して対応する例で説明したり研究したりしていない。
元日本学術振興会外国人特別研究員の張建華教授は、「ばかり」と中国語の範囲副詞の文法的意味を比較する「取り立て助詞『ばかり』の文法的意味-中国語の範囲副詞との対照研究のために-」という文章を発表した。その文は「ばかり」の使い方と中国語に訳されたいろいろな場合について深く研究した。その中では「ばかり」は「場所名詞+は+ばかり(だ)」をもつ文に現れる場合は中国語の「净、全、都」と対応する。また、「ばかり」は「動詞テ形+ばかり+いる」の形で現れる場合は中国語の「光、老、总」に対応すると述べた。簡単な説明で精確に意味を解釈したと思われる。
本稿はその三つの言葉の対照研究によって三者の区分けをまとめ、日本語学習者がその三つの言葉に対して深く理解でき、これからの日本語応用で正確に翻訳できるようにさせることを目指す。
キーワード: だけ ばかり しか 区别 助詞
目次
要旨
中文摘要
はじめに1
1、「だけ」の用法 1
1.1、程度や強調を表す時1
1.2、範囲、種類や分類を限定する時2
1.3、一方の変化につれて変化を引き起こした時2
2、「ばかり」の用法2
2.1、ある範囲を限定する時3
2.2、大体の数量を表す時3
2.3、動詞につく場合3
2.3.1、「動詞ル形+ばかりだ」の場合4
2.3.2、「動詞連用形+て+ばかり+いる」の場合4
3、しかの用法5
3.1、「のみ」の意味を表す用法6
3.2、「それ以外に選択がない」という意味を表す用法6
4、三者の区別 7
4.1、数詞に接続する場合7
4.2、指示詞に接続する場合7
4.3、副詞に接続する場合8
4.4、「 ~ だけ ~ する 」と「 ~ しか ~ ない 」の使用区別8
おわりに9
参考文献 10
謝辞11