要旨:芥川龍之介は日本の「新思潮派」の代表的作家である。作品においてはロマン主義の一面もあるし、現実主義の一面も見られる。早期の作品には中国の古典文学をもとに創作したものが多い。しかし、それは簡単な借用ではなく、かすを取り除き、精華を取り入れ、彼の当時の気持ちや人生に対する見方を表現した。芥川は原著、唐代の『杜子春伝』の上に、自分の家庭背景と結び付き、生活の環境や当時の社会時代の背景の下で小説『杜子春』を創作した。
小説の主人公、杜子春は家が没落して、自殺しようとした時には仙人に出会った。仙人のおかげで、杜子春は二回も富裕から貧窮な境地に落ちたことを深く経験した。世と言うところの薄い人情を深く体得し、絶望を感じた主人公は、とうとう仙人になりたくなった。その試練として、いかなる状況の下でも声を出してはいけない。修仙過程の中で様々な試練をされても、杜子春は黙っていた。しかし、最後には母性愛に感動させられ、心から新しい希望が燃えてきて、仙人となる考え方をあきらめた。思わず声を出して「お母さん」と叫んだ。何になっても、人間らしく、正直に生きていくことを覚悟した。小説の最後、仙人は杜子春にユートピアを贈与した。
本論文では芥川龍之介の家庭背景や当時の芥川の実際的状況に着目し、小説の主人公、杜子春の体験:絶望を体得し、新しい希望が燃え、絶望と希望の共存の結末について分析してみた。それを通じて、作者芥川龍之介の母性愛に対する憧れと正直な人生観が見られたと思う。
キーワード:杜子春 絶望 希望 母性愛 人生観
目次
要旨
中文摘要
はじめに-1
1.芥川龍之介の生涯-2
2.『杜子春』-2
2.1絶望-3
2.2希望-3
2.3絶望と希望の共存-4
3.『杜子春』と芥川龍之介の人生観-4
3.1人生観の定義-4
3.2『杜子春』から見られる芥川龍之介-4
3.3芥川龍之介の人生観-5
3.3.1母親への愛-5
3.3.2人生の問題について-5
終わりに-6
参考文献-7
謝辞-8