要旨: 憤りを抑制して、冷静な皮肉、ユーモアに富んだ風格が風刺の本質である。夏目漱石と魯迅は日本と中国の近現代文学史で有名な国民的な作家である。二人とも文学の創作における風刺手法の使用が極めて抜群である。漱石と魯迅はそれぞれ文学と歴史の差があると言っても、文学を通して国民を改造したり、思想を啓蒙したりするという初志は同じである。
本論文では、『坊っちゃん』と『孔乙己』を例にして、小説の内容に対する理解を前提として、小説の風刺内容を分析する。小説の創作はそれぞれ五四運動と明治維新を背景としている。小説の主人公は同じく読書人である。しかし、主人公は千差万別の運命がある。その原因は、人間の欲望を築いた金銭観であるか、古い封建制度であるか、伝統文化の束縛であるか、本文には分析してみた。
本文では、違う二篇小説であるが、どちらも一人称叙事で、小説の読者に感染力を与える。言語の細部の表現力から、小説の人物のあだ名を締めくくる。あだ名をつけた方法から、作者の態度を感じる。最後に、白描と対比手法を通して風刺手法の間接性を味わう。二篇小説から、夏目漱石と魯迅の作品に表現された金銭社会への深刻な批判や、国の前途運命に期待や関心を共感する。
時代は決して後戻りしない。現代の社会は、その死屍累々のしかばねの上に成り立ってる。それは漱石と魯迅はが時代と社会と対抗しながら上げている叫びである。
キーワード:夏目漱石、魯迅、風刺手法、比較
目次
要旨
中文摘要
はじめに1
1.作品について1
1.1『坊っちゃんについて』2
1.2『孔乙己について』2
2.風刺内容の比較3
2.1金銭社会への批判3
2.2社会制度への批判3
2.3伝統文化への態度4
3.手法の比較5
3.1一人称体叙事5
3.2人物のあだ名6
3.3白描手法の使用7
3.4対比手法の使用8
おわりに10
参考文献11
謝辞12