要旨:芥川龍之介(1892-1927)は東京に、生まれ、日本大正時代の小説家である。彼の短い生涯の中に、短編小説を150篇創作した。彼の短編小説は短いが、取材がユニークで、筋も珍しくて怪しい。初期作品は歴史小説を主とし、主に封建王朝の人やことなどから取材し、歴史の物語を借りて社会の醜い現象を披露した。『地獄変』は、1918年に発表された彼の歴史小説の代表作の一つである。この作品は『 宇 治 拾 遺 物 語 』の 「絵 仏 師 良 秀」をもとに、アレンジした物語である。
本論は『地獄変』という芥川龍之介の代表作を中心にして、作者の生い立ちと当時の創作背景から「芸術至上主義」の形成原因を分析する。それに、「良秀」という中心人物が人生と芸術への躊躇いと選択によって、芥川が人生観や芸術観への思考を解読し、こういう思想の特徴を究明する。一方、『地獄変』を彼がその前に創作した「戯作三昧」と比べ、芥川の「芸術至上主義」の発展と変化を解明する。
本論文の分析研究を通じて、筆者は以下の観点を出した。一、幼い頃の文学修養は彼の文学創作の基礎となった。それと同時に、母の発狂や初恋の破局は、彼を芸術創作に没頭させ、「芸術至上主義」という思想を生み出す現実の原因である。そのほか、森鴎外と友人からの影響は彼の芸術創作の発展を促進した。二、『地獄変』には、芥川龍之介の「芸術至上主義」は「リアリズム」、「エゴイズム」、「悲劇色彩」などの特徴がある。三、その前に創作した《戯作三昧》と比べ、地獄変における「芸術至上主義」という思想が昇華した。
キーワード:『地獄変』 芥川龍之介 「芸術至上主義」 良秀
目次
要旨
中文摘要
はじめに-1
1「芸術至上主義」についての先行研究-1
1.1「芸術至上主義」とは-1
1.2芥川龍之介の「芸術至上主義」について-2
2.『地獄変』の創作背景-2
2.1芥川龍之介の少年時代-2
2.2初恋の破局-3
2.3森鴎外と友人からの影響-3
3.『地獄変』における「芸術至上主義」-4
3.1良秀の「芸術至上主義」の特徴-4
3.1.1良秀の芸術創作から見られるリアリズム-4
3.1.2芸術のためのエゴイズム-5
3.1.3良秀の死から見られる悲劇色彩-6
3.2良秀の人物像における芥川龍之介の影-6
4.『地獄変』における「芸術至上主義」の昇華-7
4.1創作の喜びから威厳の喜びへ-7
4.2「芸術ための人生」から「芸術ための芸術」へ-8
おわりに-9
参考文献:-11
謝辞-12