要旨: 2016年中国両会(両会とは中華人民共和国全国人民代表大会と中華人民政治協商会議のことを指す。本論文において「両会」と称する)が行われ、それをきっかけに、全国政治協商委員会委員の黄潔夫氏と全国人民大会常務会準委員長の陳竺氏は大会において腎移植との医療法を医療保険制度に納入されるべきだと提案した。中国の臓器移植は重要な一歩を踏み出したと考えられる。それ以来、臓器移植問題がますます注目されている。隣国の日本は中国よりスタートし、技術も一層進んでいる。したがって、本論文は日本の関連事情に基づいて臓器移植に関する研究を行う。現代的科学技術の革新とともに人類は医学領域における大きな成果を上げ、次々と医学奇跡を遂げ、医学技術によって奇跡を遂げられるにもかかわらず、ある程度で人間の固有倫理観にも衝撃を与えるに違いなかろう。その現状は渡辺淳一の医療小説『白い宴』で真実に再現された。臓器移植をめぐって、違う立場に立った三方人物―医者、臓器提供方と臓器受植者それぞれの心理矛盾を描いた。
本論文は現在の国内外研究成果に基づいて、現代価値観を形成する原因及び日本人の現代的価値観は伝統的倫理観に対してどのような衝撃があるかを探求したい。本論文は主に三つの部分にわかれている。まず課題の研究背景を説明する。主に関係用語の解釈、日本国内に臓器移植の歴史や現状及び臓器移植倫理についての研究現状を述べる。それから作品を通じて主要人物間の関係を整理して心理矛盾を分析、現代的価値観の形成原因を探す。最後に日本の伝統的倫理観に分析を行う。伝統倫理観や現代的価値観が共存している現代文明社会において、日本現代的社会及び日本現代的社会文明を一層深く理解できるように、伝統的倫理観に対する衝撃や影響の分析を行う。
キーワード:臓器移植 日本人 現代価値観 伝統的倫理観 衝撃
目次
要旨
中文摘要
はじめに
1 課題研究の背景説明
1.1 臓器移植と脳死について
1.2 日本における臓器移植事情
1.3 先行研究
2 『白い宴』について
2.1 作品のあらすじ
2.2 作品に反映された人物関係の矛盾
2.3 人物関係による倫理観の違い
3 伝統的倫理観に対する衝撃の分析
3.1 伝統的倫理観
3.1.1 生命観
3.1.2 宗教観
3.1.3 道徳観
3.2 伝統的倫理観に対する衝撃の表現
3.3 新価値観の形成及び原因
3.3.1 医療科学の進歩
3.3.2 法律の改善
3.3.3 教育の改善
終わりに
参考文献
謝辞