要旨:樋口一葉は十九世紀に日本の有名な女性作家で、日本の近代批判現実主義文学の先駆である。樋口一葉の後期の作品で現実主義の色彩が帯びるにもかかわらず、自分の経歴と生活の背景のために、彼女の作品において宿命の色彩も帯びる。『にごりえ』の中で、主人公力ちゃんは運命に抵抗することがあるが、最後にやはり宿命から逃げられない。宿命観は人間の運命が偶然で、予知できなく、変わらないという観点である。家が没落した樋口一葉は貧民区で生活して、貧民の困難を味わっていた。その間に、一葉は反抗と妥協、運命と意志などの問題を深く考えていた。したがって、その作品に宿命の色彩が体現された。『にごりえ』の中で、どのように宿命観を表現するか。樋口一葉の宿命観はどんな特性があるか。本文はそれらについて研究したいと思う。
本文は三つの部分からなっている。第一部分は樋口一葉の生活の経歴と社会の背景から、その宿命観の形成原因を分析する。第二部分は『にごりえ』における宿命観の表現の分析である。運命化と悲劇化を主に分析する。第三部分は『にごりえ』における現実性、偶然性と必然性、輪廻性という樋口一葉の宿命観の特性を分析する。
樋口一葉の宿命観を分析することで、新しい角度で樋口一葉の思想が研究できるだけでなく、彼女が作品における人生、運命、生き甲斐についての考え、特に作品に表現する宿命観の考えも了解できる。
キーワード: 樋口一葉 『にごりえ』 宿命観
目次
要旨
中文摘要
はじめに-1
1．樋口一葉の宿命観の形成原因-1
1.1生活の経験-1
1.2社会の背景-2
2．『にごりえ』における樋口一葉の宿命観の表現-3
2.1運命化-3
2.1.1社会階級-3
2.1.2男女差別-4
2.2悲劇化-5
3. 『にごりえ』における樋口一葉の宿命観の特性-5
3.1宿命観の現実性-6
3.1.1反抗意識-6
3.1.2妥協意識.-6
3.2宿命観の偶然性と必然性-7
3.3宿命観の輪廻性-7
おわりに-8
参考文献-10
謝辞-11
