要旨:芥川龍之介と魯迅は同じアジア文学の中、世界に巨大な影響を与えた作家である。彼らはほぼ同じ時代に暮らし、家庭の環境及び成長の経歴にも多くの似ているところがある。芥川は日本大正時期に才華を輝した小説家で、また新思潮派の代表的な作家である。一方、中国現代の文学家、学者、訳者としての魯迅は、非常に芥川の短編小説を愛読し、そして彼も最も早く芥川の小説を中国語に翻訳して中国へ芥川を紹介した人である。この二人の中に深刻な共鳴があって、創作の特徴、方法、主題にも相似性が存在していると思う。
故に、芥川と魯迅の創作生涯に特別な意味を持つ代表作の『河童』と『狂人日記』を選び、比較研究を行った。この二つの作品についての資料を利用し、各作品の研究の成果を総合し、表現手法、芸術的手法、主人公の結末とその原因、作品の主題などから分析した。それらの分析により『河童』と『狂人日記』の相似しているところと相違しているところを考察した。
この比較研究を通して、『河童』と『狂人日記』を熟知し、二つの作品の背景、主旨、人物の性格など、そして作者の心境、性格までも理解できる。更に芥川と魯迅の文学特徴や文学価値などに関する正確な同異性の認識を得ることに役立つと思う。
キーワード:河童;狂人日記;芥川龍之介;魯迅;比較文学
目次
要旨
中文摘要
はじめに1
第一章 『河童』と『狂人日記』の狂人の形象の比較3
1.1『河童』と『狂人日記』における狂人の共通点3
1.2『河童』と『狂人日記』における狂人の区別5
1.3『河童』と『狂人日記』における狂人の結末とその原因6
第二章 『河童』と『狂人日記』の芸術特徴の比較8
2.1表現手法の相似点8
2.2叙述の角度の区別9
2.3言語の特徴の異同10
2.4象徴主義の使用11
第三章 『河童』と『狂人日記』の主題の比較12
3.1『河童』と『狂人日記』の主題の共通点12
3.2『河童』と『狂人日記』の主題の相違点13
3.3主題の相違の原因13
3.3.1作者の個性の区別13
3.3.2社会背景の影響14
3.3.3創作の目的の違い14
終わりに16
謝辞17
参考文献18