要旨:森鴎外は夏目漱石と並んで反自然主義的立場に立ち、独自な態度を保ちつつ、数多くの名作を生んだ明治時代の文豪である。『高瀬舟』は森鴎外の最後の歴史小説である。対華21ヶ条要求の時代背景のため、この作品には重要な研究意義がある。
本稿の出発点は『高瀬舟』のテーマである。本論文は三つの部分から構成される。まず、『高瀬舟』と森鴎外についての紹介である。『高瀬舟』のあらすじ、時代背景および森鴎外の生活経験を紹介する。次いで、『高瀬舟』の三つのテーマ、知足、安楽死、反権威について検討する。小説の中において、「知足」は主に財産に対する態度により表現されると考えられる。最後、三つのテーマの関係を分析する。結論としては、「知足」は「安楽死」の一種であるが、「安楽死」と「知足」も反権威の表現である。
この研究を通じて、『高瀬舟』の意義はさらに深刻化できると考えている。「知足」は「安楽死」の一種である。森鴎外が政府に対する批判は反権威の表現だと思われる。それゆえ、この小説の最も核心のテーマは「反権威」だと思われる。
キーワード:森鴎外、高瀬舟、テーマ、知足、反権威、安楽死
目次
要旨
中文摘要
はじめに-1
第一章 『高瀬舟』と森鴎外についての紹介-1
1.1『高瀬舟』のあらすじと時代背景-1
1.2森鴎外への紹介-2
第二章 『高瀬舟』のテーマについて-3
2.1知足-3
2.2反権威-4
2.3安楽死-5
第三章 三つのテーマの関係について-6
3.1安楽死と知足の関係-6
3.2安楽死と反権威の関係-6
3.3反権威と知足の関係-7
終わりに-7
参考文献-9
謝 辞-10