要旨: 高畑監督は完璧主義者で高い理想を持っていると言われている。彼は、用意 された時間と労働力を、限界を超えて費し、スタジオジブリをはじめとする製 作環境の屋台骨を軋ませながら、今までに規格外の名作を生み出してきた。日 本にいると、ついついアニメーションというのは盤石な文化で、「日本はアニ メ先進国である」と思ってしまう。だがその中で、本当に価値のある作品はあ るだろうか。高畑監督は、スタジオジブリで、高い芸術性と現実性を保ち、世 界のトップ・クリエイターとして、その流れを絶やさなかったという意味では、 考えられている以上に重要な功績を残している。
本文では、高畑勲の監督したいくつかのアニメ映画の中の現実主義の風格を 分析し、そして、この現実主義風格の形成原因を探究しようとする。それによ って高畑勲監督と日本のアニメーションの映画に対して更に深い理解ができる と考えている。
キーワード:高畑勲、現実主義、形成原因
目次
要旨
中文摘要
はじめに-1
第一章-高畑勲の映画について
1.1.高畑勲の映画作品に関する先行研究-2
1.2 現実主義の映画について-4
第二章-高畑勲の映画からみる現実主義-5
2.1 主題の設計-5
2.1.1 生存への関心――人類と自然の共存を提唱する -5
2.1.1.1-緑色の主題-5
2.1.1.2-生存の主題-6
2.1.2 成長への関心――平凡な人の成長の感想 -7
2.1.3 人性への関心――社会下層平民の喜びと苦しみの描写 -7
2.2 人物のイメージ-8
2.3 表現手法-9
2.3.1「思いやり式」情感投射 -9
2.3.2 細かい事件からなる物語の展開 -9
2.3.3 情景設計の真実性 -10
第三章-形成原因 -11
3.1-成長経験と創作環境からの影響 -11
3.2-民族習慣と文化からの影響 -12
終わりに13
謝-辞14
参考文献15