要 旨:蛇という動物といえば何か奇怪で不思議なイメージを思い出させ、文化が違っても蛇対する感じは神秘的なものであり、これが万国共通である。だから、世界各地の蛇についての印象といえば地域によって異なっていますが、発想の元に根ざすものは同じだといってもいいと思う。
キリスト教では『旧約聖書』の「蛇がイブをそそのかして禁断の実を食べさせた」という記述から悪いイメージが付いて、だから英語で「snake」と言えば「誘惑者」「悪魔」に転じて、更に「裏切り者」という意味をも含まれているらしいだ。古代エジプトでは太陽信仰が定着していて、蛇はその中で太陽神の遣いであり、大きな力(エネルギー)の象徴だったようだ。 中国では蛇は常に美女というイメージで伝説や物語に現われている。蛇を祖先神として奉る所もある。また古代中国では川がくねくねと曲がって流れているのを蛇にたとえ、蛇は川の神とされていた。
日本では蛇とどのような繋がりがあるのか、蛇という動物に対するイメージにはどのような変りがあるのか、蛇と蛇信仰は日本人の日常生活、言語表現及び日本文化にどのような影響をもたらしてきたのか。これらの問題を初歩的に研究しようと思い、本論文をあえて作成してみるつもりである。
キーワード:蛇 動物 信仰 神話