要旨:芥川龍之介は新思潮派の代表的作家で、20世紀前半期三大家の一人(ほかの二人は森鴎外、夏目漱石)だと言われる。東大在学中に体験した初恋の挫折から、『羅生門』、『鼻』を書いた。第四次「新思潮」に発表した『鼻』(1916年)が漱石の賞賛を受け、文壇に登場した。芥川は題材や作風を工夫し、素材を『今昔物語集』と中国古典などの古典にも求めて、歴史小説に新しい領域を開拓した。『杜子春』は中国古典を題材した歴史小説であるが、芥川の創作工夫により、芥川文学の名篇になっている。また、芥川文学の中で、『杜子春』は他の作品と違い、童話として扱われることもある。童話として扱われるのは、ある意味では『杜子春』の物語のブームは“異界”という場に発生したためであろう。しかし、今までの研究では、“異界”の視点で研究することがまだ見られないようである。
本研究は、『杜子春』に対し、“異界”文学の視点で研究してみた。また、芥川の他の“異界”文学作品を照らしながら、芥川文学における“異界”文学の特徴をまとめてみた。すなわち、芥川は“異界”文学に託し、現実世界を避けたい気持ちを表した。さらに、“異界”文学に出てくる女主人公は母親への憧れを象徴しているだろう。
キーワード:芥川龍之介;“異界”文学;『杜子春』
摘要:芥川龙之介是新思潮派的代表作家,是20世纪前半期三大家之一(另外两人是森鸥外和夏目漱石)。他在东大学习时,由于感情受挫折,写下了《罗生门》 、《鼻子》 等作品。发表于第四次〈新思潮〉杂志的《鼻子》受到夏目漱石的赏识,由此登上文坛。芥川在他的文学作品中致力于题材新颖、作风独特,在《今昔物语集》中采用众多古典素材,在历史小说的领域中开辟了新的天地。《杜子春》是以中国古典故事为题材的历史小说,在芥川的力作下,也成为芥川文学中的名篇。另外,在芥川的文学中,感觉《杜子春》这一童话和芥川其他作品不同,发现在《杜子春》中出现了“异界”这样的特殊场面,我觉得很有意思。而且,至今为止的芥川文学的研究中,似乎还没有人以“异界”为出发点研究芥川文学。
而本论文就是通过《杜子春》,以“异界”为出发点来研究芥川文学。然后,再对照其他“异界”文学小说,总结出“异界”文学的特征。也就是指,芥川龙之介借助“异界”文学,逃避现实的一种心情。而且,对“异界”文学中出现的女主人公有一种恋母情节这样的一种特征。
关键词:芥川龙之介;“异界”文学;《杜子春》