要 旨:現代日本人の名前は氏と名から成り立っている。氏は久しく前から定まったものであり、子々孫々血を繋ぐ象徴でもある。名は生まれた時に創作するものであり、心理的なものである。各時代にはやった一文字を入れる場合、親が気に入った四字熟語から一文字をとる場合や偉人の名前からとる場合など、人々は、いろいろな形で、男には元気、強壮を願って名を付け、女にはきれいになるようにと願いを込めて名を付けたのである。
日本人の名前は、典型的には、苗字が漢字2文字、名が漢字2文字からなる。ただし法的制限などがあるわけではなく、苗字・名とも漢字1文字や3文字のものも多い。研究者の間で確認されている限りでは、苗字は漢字5文字のものが最長である。漢字5文字からなる苗字は、その種類もごく限られている。名においては、女性には平仮名も比較的多く見られる。片仮名は、男性には時代を通じて稀であるが、女性においては戦前には比較的よく使われた。戦後になって使用される例は減ったが、近年では個性的な名前を望む風潮から使われる例が増えている。