要旨:川端康成は日本の文学界において、外国の文学界においても、重要な地位を占めている。彼の作品は日本文学界と国内外学者の研究と評価の重点とされている。多くの作家と学者は川端康成の作品に表れた美意識――物の哀れを研究していた。「物の哀れ」は平安時代の文学理念・美的理念から生まれた美意識である。物の哀れは平安朝の『源氏物語』を中心に形成した物の哀れから続いて、悲しさと同情の意味が含まれている。「哀れ」は単に悲しみを表すのではなく、楽しい、同情、愉快、面白い、滑稽などの形でも表れている。
川端康成は「源氏物語」を中心に形成された物の哀れから影響を受けた。川端康成の作品において、「哀れ」の表現形式はほとんど人物の不幸な生活の悲哀と女性への同情であり、小人物に対する賞賛、同情、愛憐、感動などの気持ちである。また、「物の哀れ」は川端康成の生活経験と関わっている。
本文では、『雪国』、『伊豆の踊子』、『古都』、『千羽鶴』などの作品に基づき、「物のあはれ」の起源とその表現形式、それに川端康成本人の「物のあはれ」への見方と各作品の中にいる人物と季節環境や色彩などの転換の描写を分析して、「物の哀れ」の美意識を探求したい。今までの方々の研究成果を踏まえて、①.「物の哀れ」、②.川端康成の「物の哀れ」への見方、③.川端康成の「物の哀れ」の分類、④.川端康成の「物の哀れ」の表現方式、⑤.川端康成の「物の哀れ」の伝承と発展などを研究しようと考える。
川端康成の「物の哀れ」の内容は広く、深く、表現方式と種類も多様多彩である。その「物の哀れ」に、悲しみ、惨め、悲惨などの感情だけではなく、哀れ、同情、感動などの意味も含まれている。川端康成の作品は、環境と色彩などの描写を描き、人物の不幸と悲哀などを表した。川端康成の「物の哀れ」も日本の伝統美、自然美、精神上の余情美と女性美を表している。例えば、女性美、自然美と悲哀の美などが表われる。それで、川端康成の「哀れ」への描写は作者の美意識と日本伝統美への熱愛を表していると考える。
キーワード:川端康成;物の哀れ;伝統美;文学
目次
要旨
中文摘要
1.序論.1
2.「物の哀れ」1
3.川端康成の文学に表れた「物の哀れ」.2
3.1川端康成の「物の哀れ」への見方
3.2川端康成の「物の哀れ」の分類表現
4.川端康成の「物の哀れ」の表現方式.5
4.1『雪国』雪と色彩の象徴描写
4.2『伊豆の踊子』天気の変化の象徴描写
4.3『古都』スミレと杉の象徴描写
5.川端康成の「物の哀れ」の伝承と発展.6
6.終わりに 6
参考文献.7
謝辞.8