要旨
本稿は「无论」がある無条件譲歩複文の容認性を明らかにしたい。なぜ「都」の生起や「都」が「也」への変更は無条件複文の容認性に大きい影響を与えるのだろうか。
これらの原因を明らかにするためには,筆者は「无论」がある無条件複文を例とし,複文の容認性をアンケート調査で解明する。そして先行研究を参考とし,自分の主張を提示したい。
結論は以下のように述べている。
「都」がある無条件複文
1.「都」によって,疑問代名詞が指示する集合内の構成要素がそれぞれに主節とつながるため,分配解釈になる。新しい小事件が元々の集合内の関係によってつながるために,全称解釈になる。
2.「无论」がある無条件複文の疑問代名詞は極端性がない。
3.「还是」がある無条件複文の場合に,主節に「每」があれば,つきそい節と主節の関係が遠くなる。文は「都」がなくても容認できる。
「也」がある無条件複文
1.否定文の場合に,無条件複文の疑問代名詞は,任意指示を表す。「也」によって,極端の状況を強調する。
2.疑問代名詞と「也」が共起する場合に,述語が意志動詞であれば,演繹論断型の肯定文が容認可能となる。
本稿では,「都」がある無条件複文また「也」がある無条件複文の容認性を検討している。しかし,「都」が「还」に変更する場合と「就」に変換する場合に言及しない。また演繹論断型の肯定文が容認可能には,述語が意志動詞である条件が必要であるという結論はより詳しく検証したい。
キーワード: 無条件譲歩複文: 「无论」;「都」; 「也」
目次
要旨
中文摘要
1. はじめに-1
1.1. 本論文の目的-1
2. 研究背景-2
3. 本論文の構成-4
4. dou(都)の生起-5
4.1. 疑問代名詞がある文-5
4.2. 疑問代名詞の極端性-8
4.3. 「还是」がある文-10
5. 「都」から「也」への変更-13
5.1. 「都」から「也」への変更-13
5.2. 否定文の容認性-13
5.3. 肯定文の容認性-16
5.4. まとめ-18
6. まとめ-19
7. 今後の課題-20
8. 付録-21
9. 参考文献-24