要旨:本稿はテンスの過去やアスペクトの完了だけで説明しきれない助動詞「タ」の働き、いわゆる「ムードのタ」を研究対象とする。研究方法は先行研究を踏まえたうえ、日本ドラマやアニメの台詞を例文に、ムードを表す「タ」の役割を考察していく。結論としては①「タ」は過去・完了の意味を表すほかに、話し手の心的な態度と生理的な変化などを表すことができる。②「タ」の働きに対する認識は一つの文だけに焦点を当てるのは足りなく、一つのまとまったコンテキストに焦点を当てる必要がある。③日本語教育現場には、ムードの「タ」を十分説明する必要があるなどと分かった。
キーワード:助動詞「タ」 働き ムード
目次
要旨
中文摘要
1.はじめに-1
2.先行研究-1
2.1 日本側の先行研究-2
2.2中国側の先行研究-2
3.ムードから見た助動詞「タ」の働き-3
3.1 差し迫った要求、命令、決意などを表す場合-3
3.2 期待や予想の実現を表す場合-3
3.3意識の蘇りと思い出の再認識を表す場合-5
3.4 「~ただろう」の縮約-6
3.5 過ぎたことに対する現在の気持ち、感情を表す場合-7
4.終わり-9
参考文献