要旨:日本人に親しみ深い和菓子は、長い歴史を持っている。もしかしたら、和菓子の中から、日本人が昔から受け継ぎ、大切に育んできた文化が発現できるのではないだろうか。本稿では、和菓子を踏まえながら、和菓子と日本文化のつながりを考察したいと思う。以下においては、まず、和菓子の概況について述べる。次に、和菓子の見かけなどに着目し、日本人の自然観、季節感などを検討する。最後に、和菓子の名前、菓銘を調べ、古典文化とのつながりを分析する。
千年を越える歴史を持ち、日本文化の形成とともに発展して来た和菓子は、行事に深く関わるため、日本人の生活の中で不可欠なものとなっており、和菓子は日本文化の一つであるということが明らかになった。また、前述の通り、和菓子を通して、日本人は自然を愛し、自然と調和し、自然の成り行きに任せるという自然観を持っていることも分かった。そして、季節の恵みを受け、四季の移ろいを閉じこめる工夫もされる和菓子を味わってみると日本人の季節に対する思い込みというのをしっかりと感じることができたようになる。和菓子の繊細で楚々とした気品は、日本の文化そのものであるような感じがする。小さな和菓子により、自然や季節を描く感性を持てるのことに及ばず、日本の古典文化までもが表現されている。
以上のように、本稿では、本やインターネットを通して和菓子の見かけや名前、菓銘などに注目し、和菓子と日本文化のつながりを考察した。しかしながら、筆者自身が中国にいるため、なかなか実際に和菓子を調べることができないのが残念である。そして、お菓子には、西洋風の“洋菓子”と、日本風の“和菓子”の2種類があり、洋菓子と和菓子の区別については、考察していない。和菓子を一層深く理解するには、洋菓子と和菓子の区別にも注目することが必要になるだろう。これは今後の課題としたい。