要 旨
諺というのは、古くから人々に言いならわされ、人々の長い生活経験を結び 教訓、風刺などの意を寓した短句や秀句である。諺を通じて、一つの側面から その民族の考え方や文化のなりゆきや価値観など、ある程度に了解することができる。
これまで、多くの学者が日本人の婚姻、恋愛観について研究して来たようである。この中には、汤川滝一郎(1999)は、『日本人の婚姻、恋愛観』の中で、日本人の婚姻、恋愛観を研究してきた。しかしながら、諺から日本人の伝統的な婚姻、恋愛観に対しての研究が少ない。
本稿は、諺から日本人の伝統的な婚姻、恋愛観を分析することに試みる。
日本における伝統的な婚姻、恋愛観は縁を重視することで、非理性的な面が避けられないと考えられる。理想的な相手を求める傾向から、あまりにも厳しいので、相手を選ばない方がよいという諺が伝えられた。そして女性の重要性を認めながらも、男性は婚姻、恋愛における地位が高く、封建的な考えが色濃く存在していると言えよう。また、婚姻や恋愛対象に対する達観的な考えが目立っている。しかし、夫婦仲のことは他人が参与しないと思われていることがあきらかになった。