要 旨:自殺は人間社会において避けることができない文化現象の一種である。自殺を引き起こしたいろいろな原因の中に、文化要素はさらに深いと私は思う。本文は日本人の自殺者への寛容的な態度と、日本人の卑屈的な処世哲学と、日本人の「死亡は美」といった視角から、日本人が死生問題に独特な文化心理を持つことを分析するつもりである。いわば、死が生の継続、道徳の向上、品格を磨いた行為であるという考え方を生じた原因を探求しようと思う。
キーワード:日本人 自殺 文化
自殺は哲学、社会学、倫理学、精神医学と心理学などの分野で、非常に重視されている課題である。マルクス哲学の思想によると、人類の言動はその人の思想に支配されたのである。それは、つまり「思想は人間の言動に指導的な役割を与える」ということである。たとえば、遅刻したくないわけで、早く起きる。罪を隠すために、うそをつく。すると、もしたくさんの人が一律同じようなことをすると、同じ思想に支えられた可能性が大きいのではないだろう。たとえば、無事を祈るために、神社に行く。人たちは災害を被ってしまった地域の復興のために、お金などを集めて寄付する。そういえば、その厳しい自殺現象もきっと日本人の独特な思想に支配されると思う。では、その「独特な思想」は一体どんなことだろうか。本文は日本人の自殺者への寛容的な態度と、日本人の卑屈的な処世哲学と、日本人の「死亡は美」といった視角から、日本人の死生問題に独特な文化心理を分析するつもりである。いわば、死は生の継続、道徳の向上、品格を磨いた行為である。命を捨てる際、意気盛んでさびしい道徳の向上が体験できるという意識を持った日本人は少なくない。