要旨:太宰治は無頼派の代表的な存在である。戦後の混乱な世相を背景にして、自嘲的、自虐的、退廃的な態度で創作していた。彼の作品は道化の中に反俗の姿勢を示し、デカダンスに陥った。彼は『斜陽』、『人間失格』などによって破滅型の小説世界を築き、その中に人間の至純な感じを求めて滅亡の美を示し、流行作家として絶大な支持を得た。奥野健男は「太宰のことを言われるのは自分のことのように羞しい」と感じた。太宰治の作品は人気があることに対して彼の心理についての研究が少ない。複雑の人格をもっている作家として、彼の心理も創造のインスピレーションになることである。太宰治の作品によって、彼の心理がよく理解できる。だから、彼の心理を分析することより、その作品をもっと分かり易くなっている。太宰治は重いマザーコンプレックスをもっている。彼の作品の中で、大量の女性のイメージを創造した。そして太宰の作品の「女性」に母性のイメージをみることは繰り返しなされてきた。本稿の中に、作品に出る女性のイメージと太宰治本人の経験を結ばれて分析を行い、そしてこれによって、太宰治の作品と心理を深く理解するような目的に達成する。
キーワード:太宰治;マザコン;心理
目次
要旨
中文摘要
第1章 はじめに-1
1.1 マザコン-1
1.2 太宰治-2
第2章 太宰治とマザーコンプレックス-5
2.1 マザーコンプレックスを持つ原因――幼年時代-5
2.2 マザーコンプレックスを持つ原因――恋-5
2.3 マザーコンプレックスを持つ原因――社会と戦争-6
第3章 作品におけるマザーコンプレックス-7
3.1 『人間失格』におけるマザコン-7
3.2 『斜陽』におけるマザコン-8
3.2.1 母-9
3.2.2 蛇-9
3.2.3 母と和子-10
第4章 おわりに-13
参考文献-15
謝 辞-16