要旨
志賀直哉は日本の「白樺派」の代表的な作家の一人であり、文学史において「小説の神様」と呼ばれている。志賀氏と彼の作品に対する研究も多数ある。ただし、志賀直哉の作品を「前期」と「後期」に分け、「死」に対する認識の変化と変化の原因をテーマとする研究はまだ多くない。従って、本論文はそれをテーマとし、検討してみようとする。さらにその時代における知識人のイメージを全体的に把握し、日本の社会と文化をよりよく認識しようとする。
本論文は六つの章に分ける。まず、第一章において、研究方法と研究目的を解明する。それから、第二章において、志賀直哉の生い立ち、作品と風格及び志賀氏が属する「白樺派」を簡単に紹介する。また、第三章において、代表作の『范の犯罪』と『城崎にて』の創作背景と粗筋を紹介する。第四章において、主に上述した二つの作品を通して、前期と後期にわたり、志賀直哉の「死」に対する認識を分析する。その後、二つの時期を比較し、異同を論じる。第五章において、「山手線事故」、「父との和解」、「自主結婚観念の影響」、「女性に対する認識の変化」、「伝統的な無常観」及び「当時の社会環境の影響といった六つの方面から、「死」に対する認識が変わる原因を探求してみる。最後に、第六章において、結論を提出する。
キーワード:白樺派、志賀直哉、死、変化、原因
目次
要旨
中文摘要
1.はじめに1
1.1 先行研究
1.2 研究手段と目的
2. 「白樺派」と志賀直哉について.2
2.1 「白樺派」について
2.2 志賀直哉について
3.『范の犯罪』と『城崎にて』について3
3.1 『范の犯罪』の創作背景と粗筋
3.2 『城崎にて』の創作背景と粗筋
4. 志賀直哉の「死」に対する認識.4
4.1 対立の時期:『范の犯罪』から窺われる「死」に対する認識
4.2 調和の時期:『城崎にて』から窺われる「死」に対する認識
4.3 二つの時期の比較
5.「死」に対する認識が変わる原因について.11
5.1 山手線事故
5.2 父親との和解
5.3 康子との結婚の影響
5.4 キリストに対する認識の変化
5.5 伝統的な無常観の影響
6.結論.15
参考文献.16
謝辞