要旨: 川端康成は日本文学界のトップの座に座る人物、新感覚派作家として世の中に名を知られている。1968年に『雪国』、『古都』と『千羽鶴』三つの代表作品を持って、ノーベル文学賞を獲得した。彼はタゴールの後に継ぐアジアで二番目のノーベル文学賞の受賞者である。作者は1899年6月14日に大阪に生まれ、幼い時から両親は亡くなり、その後、姉と祖父母も次々と病死した。孤児となった川端は文学の道を歩み続けた。1953年に日本文学芸術の最高の栄誉機関――芸術院の会員に選ばれた。そして、1961年「独自のスタイルと濃厚な感情で日本の美を描いて、先人にはない創造が完成した」という理由で最高賞――第21回文化勲章を授与され、文化功労者の称号も与えられた。
作者は旅に出るのが好んで、性格も内気なので、文学作品から繊細と孤独な性格を伺われた。この常に悲しみと伴う美意識は川端康成文学の特色となっている。作者は世に100篇余り小説を送り出し、中には中短篇の数は長編より多い、一生涯情緒に富んで、粋の美を追求してきた。
本稿は川端康成の晩年の作品『千羽鶴』を中心に、4つの部分から川端の文学思想――「退廃美」を研究した。『千羽鶴』に関する中日両国の先行研究を踏み込んだ上で、まずは女性主人公、表現方法、茶道具3つの方面から作者の「退廃美」を纏めた。そして少年、靑年、晩年3つの異なる段階から女性美に対する作者の美意識の変化を追求した。または川端の「退廃美」と谷崎潤一郎の「官能美」を比較しながら、二人の異同を検討した。さらに、川端康成の文学美意識――「退廃美」から「物の哀れ」までの思想を深く探求していこうと考えている。
キーワード:川端康成 『千羽鶴』 「退廃美」
目次
要旨
中文摘要
はじめに1
1.先行研究.1
2.『千羽鶴』に見られる川端康成の「退廃美」2
2.1女性人物から表された美しさ2
2.2表現方法に潜める作者の美意識3
2.3茶道具から表れる日本の伝統美3
3.作者の生涯から見る美意識の変化4
3.1『伊豆の踊り子』の純粋の美について.4
3.2『雪国』及び『古都』と「物の哀れ」.5
3.3『千羽鶴』をめぐっての孤独感と「退廃美」6
3.3.1川端康成の「退廃美」と谷崎潤一郎の「官能美」7
3.3.2「粋」に拘る美の表現7
終わりに8
参考文献.10
謝辞.11