要旨: 短編小説『水滴』は目取真俊の代表作である。評論家に沖縄現代小説の流れの中で新たな転換点とされている。目取真俊は二戦後生まれの新しい世代の沖縄作家として、『水滴』をはじめとして、多くの作品を創作して、戦争記憶の新しい空間を開拓する。『水滴』はシュールレアリスムの発想と細部描写を採用し、戦争は沖縄及び人類に残したトラウマは消えにくいテーマだと表現している。『水滴』は空間的な特質、多次元構造がある作品である。目取真俊の創作方法が優れていて、作品の多次元構造を見落とすわけにはいかない。小論は作品の複数の時間軸、現実と戦時の転換、現実と夢(幻覚)の転換及び時間軸が主人公の体変形後の絶えずプッシュプルをもたらす時空転換から作品の多次元空間を理解する。異なる空間が主人公の生活と生存態度への影響を解読する。
キーワード:目取真俊 水滴 沖縄戦に関する記憶 多次元
目次
要旨
中文摘要
はじめに-1
第一章 目取真俊と『水滴』-2
1.1目取真俊-2
1.2『水滴』-3
1.2.1『水滴』の創作背景-3
1.2.2『水滴』のあらすじ-4
第二章 『水滴』の多次元構造-5
2.1複数の時間軸-5
2.2現実と戦時の転換-6
2.3現実と夢(幻覚)の転換-6
第三章 『水滴』のテーマと多次元構造-8
3.1沖縄にとっての沖縄戦の意味-8
3.2『水滴』のテーマ-8
3.3目取真俊の作風における多次元構造の位置づけ-9
おわりに-11
謝 辞-12
参考文献-13